腸が大切にされているワケ
昔から大切にされてきた腸
腸は“第二の脳”と呼ばれるほど重要で複雑な器官として近年注目を集めています。しかし、私たちがよく耳にする腸にまつわることわざや言葉、あらためてその意味をみてみると、腸と感情が密接に関係しているものが多く用いられていることにお気づきでしょうか。
- 腸(はらわた)が煮えくり返る : 腹が立って怒りをこらえることができない様子
- 断腸のおもい : 腸がちぎれるほど、悲しくて辛い思い・深い悲しみ
- ガッツ : 根性、気合、内臓 (英語でGUT=内臓、腸、複数形がGUTS)
一部挙げた例をみても、”腸”が近年のブームだけではなく国内外において昔から一目置かれてきたことが分かります。
消化管の約8割を占める腸
さらに、口から食道・胃・小腸・大腸・肛門に至るまでの消化管において、腸は約8割以上もの長さを占めています。 小腸は日本人の平均で約6~8m、大腸は約1.5-1.6メートル程度ともいいますから、私たちの身体の中には身長の何倍もの長さの管が収められているというのは驚きです。
では、小腸・大腸からなる腸は各々どのような働きをしているのでしょう。
【小腸】
小腸は「十二指腸」「空腸」「回腸」という3つの消化器官で成っており、直径2.5センチほど、体の中で最も細長い臓器でお腹の中を複雑に埋め尽くしています。日本人の腸の長さは平均で約6~8m。なんと小腸を広げると、テニスコート1面分にも!
なぜこんなにも広いのでしょうか。
それは小腸の内壁には、「絨毛(じゅうもう)」という直径約0.0001mmの柔らかいビロードような無数のひだがあるから。小腸は胃で溶かされた食べ物を消化液でさらに分解し、栄養素を体内に吸収する働きがあります。そのため効率よく栄養を取り込めるように絨毛突起があり、表面積が広くなっているのです。
そしてその後、絨毛から取り込まれた栄養素は、血液で肝臓に運ばれ全身に分かれていきます。
ただ、そうなると問題になるのが食べ物と一緒に外敵(病原菌やウイルスなど)が入ってきた際、体内に吸収してしまう可能性も出てきてしまうこと。そうならないため小腸には、外敵から身体を守るために全身「免疫細胞」の約7割もが集中しています。
口からとり込んだ食べ物から栄養を吸収・輸送し、外敵の侵入を防ぐ。砦ともいえる役割を小腸がしているのです。
【大腸】
大腸は「盲腸」「結腸」「直腸」の3つに区分されます。
盲腸から始まり、上行結腸→横行結腸→下行結腸→S状結腸→直腸で構成され、肛門で外につながります。大腸の長さは約1.5~1.6m程度。通常直径5㎝程で小腸の様なヒダはなく、筋肉の蠕動(ぜんどう)運動によって内容物を直腸に向かって運搬します。
大腸の主なはたらきは水分やナトリウムを吸収して固形の便を作り、肛門に運ぶこと。
また、大腸菌や乳酸菌など100種類以上の細菌が存在するとされ、胃や小腸で消化しきれなかった食物繊維などを分解・吸収し、便を直腸へ送ります。直腸に便が移動すると便意を感じ、排便に至ります。
腸育のススメ
私たちが眠っている間も休まず働き続けている『腸』。その働きは大きく分けて3つ。どれも『超』大事!
1.栄養の吸収
2.不要なものの排出(デトックス)
3.免疫力の維持
消化管の最終産物である”便”は健康のバロメーターともいわれているように、不要なものをいかに早く体外に出せる(デトックスする)かは健康を維持するために重要なポイントです。また、腸には気持ちや感情に作用する神経細胞が多いため、不要なものをいつまでも溜めていたのでは、イライラや抑うつといったマイナス感情も引き起こしかねません。私たちが毎日快適に過ごすために、とても大事な働きをしている『腸』。特に真冬に向かうこれからの時期、免疫機能はしっかり働かせたいもの。腸本来の働きがスムーズに機能するよう腸育しましょう。