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腸のコラム

腸内フローラのバランスの話

 人の腸に棲む細菌は、大別すると善玉菌、悪玉菌、日和見菌の3種類。善玉菌の99%はビフィズス菌で、乳酸菌はわずかに0.01%。一方、悪玉菌の代表格は大腸菌、ウェルシュ菌、ブドウ球菌などで、タンパク質やアミノ酸を分解して便などの悪臭の元にもなる硫黄化合物やインドール、スカトール、アミンなどを産生します。日和見菌は状況によって善玉菌にも悪玉菌にもなりうる菌で、腸内フローラの大半を占めます。

 腸内フローラのバランスを見ると、赤ちゃんの腸内は善玉菌が99%。成人では善玉菌が20%、悪玉菌が10%、日和見菌が70%程度で安定しますが、加齢とともに善玉菌が減少して、悪玉菌が増加。また、食事などさまざまな要因で悪玉菌が増えることがあるため、ビフィズス菌の摂取など、善玉菌を増やして悪玉菌を抑制する努力が求められます。

 ちなみに、悪玉菌は“絶対悪”というわけではなく、消化・吸収を助けたり免疫機能を高めたりする役割も果たしています。10%を超えて悪玉菌が増えすぎると弊害が生まれてしまうために、悪玉菌と呼ばれているのです。

もしかして、腸は脳よりも重要な存在!?

2015年冬に放送されたNHKスペシャルが話題になっています。腸内フローラにフォーカスし、「人類の寿命を劇的に延ばした『ワクチン開発』や『抗生物質の発見』にも匹敵するインパクトがある」と紹介した番組です。

 そもそも腸は、脳がなく腸だけの生物が存在するほど、生物にとって重要な臓器。人の腸においては「第二の脳」とも呼ばれ、生命が誕生してまず最初に形づくられる臓器であり、独自の神経ネットワークを持っていて、消化吸収や排便など、脳からの指令がなくても独自判断で活動できます。
 また、腸と脳は互いが太い神経で結ばれ、密接に関係していることがわかってきました。「脳腸相関」と呼ばれ、例えば緊張するとお腹が痛くなるのは、脳が自律神経を介して腸にストレスを伝えることによって起こるものなのです。
 驚くのは、脳→腸の指示よりも、腸→脳の方が圧倒的に多いということ。その割合は2:8ともいわれ、腸は頻繁に信号を送り、脳下垂体に対してホルモン分泌などを指示しています。すなわち、腸の状態は、脳の状態にも深く影響を及ぼしており、うつ病をはじめとした精神疾患との関連性も明白になってきています。

 腸内細菌を入れ替えたら、性格まで変わってしまったという例もあります。ハッピーホルモンといわれるセロトニンは、脳が作り出すものはほんのわずかで、その90%が腸で作られています。果たして、腸とは何者なのでしょうか? 腸の状態を守る腸内フローラにはどんな可能性が秘められているのでしょうか? いま、脳科学の先端を走る多くの学者たちも、お腹の中にある腸内フローラという花畑に注目しています。