もしかして、腸は脳よりも重要な存在!?

2015年冬に放送されたNHKスペシャルが話題になっています。腸内フローラにフォーカスし、「人類の寿命を劇的に伸ばした『ワクチン開発』や『抗生物質の発見』にも匹敵するインパクトがある」と紹介した番組です。

そもそも腸は、脳がなく腸だけの生物が存在するほど、生物にとって重要な臓器。人の腸においては「第二の脳」とも呼ばれ、生命が誕生してまず最初に形づくられる臓器であり、独自の神経ネットワークを持っていて、消化器官や排便など、脳からの司令がなくても独自判断で活動できます。また、腸と脳は違いが太い神経で結ばれ、密接に関係していることがわかってきました。「脳腸相関」と呼ばれ、例えば緊張するとお腹が痛くなるのは、脳が自律神経を介して腸にストレスを伝えることによって起こるものなのです。驚くのは、脳→腸の指示よりも、腸→脳の方が圧倒的に多いということ。その割合は2:8ともいわれ、腸は頻繁に信号を送り、脳化垂体にちあしてホルモン分泌などを指示しています。すなわち、腸の状態は、脳の状態にも深く影響を及ぼしており、うつ病をはじめとした精神疾患との関連性も明白になってきています。

腸内細菌を入れ替えたら、性格まで変わってしまったという例もあります。ハッピーホルモンと言われるセロトニンは、脳が作り出すものはほんのわずかで、その90%が腸で作られています。果して、腸とは何者なのでしょうか?腸の状態を守る腸内フローラにはどんな可能性が秘められているのでしょうか?いま、脳科学の先端を走る多くの学者たちも、お腹の中にある腸内フローラという花畑に注目しています。